The Figure in the Carpet

短編小説を読んだから、その感想を書いた

2018-01-01から1年間の記事一覧

G・K・チェスタトン : 黄色い鳥 ~ 『詩人と狂人たち』より

概要 なぜ、ロシア人の亡命科学者は下宿先の家の窓をすべて開けるのか? そのことについて医師ガースらが訝っているときに、画家であり詩人であるガブリエル・ゲイルはこう言い放つ。「君は二等辺三角形だったことがあるかい?」 感想その他 G・K・チェスタ…

レベッカ・ブラウン : 犬──神の内在について

概要 ”ある夜、私のアパートに犬がいた”という、その事実以外の何ものも意味しない明快な文で、このレベッカ・ブラウンの連作短編集は始まる。アパートに犬がいた。それは背が高く黒くて痩せていて…耳は尖っていた。ドーベルマンだろうか? 読んでいくと、こ…

ヤコブス・デ・ウォラギネ : 『黄金伝説』より 使徒聖アンデレ

概要 アンデレ(Andreas)は「男、おす」を意味する andros を美しく適切に男性的に転化したものだ、と使徒聖アンデレの物語は始まる。彼が使徒に選ばれる来歴は福音書に書いてあるとおりなので、ここではキリスト昇天後のアンデレの活躍に注目したい。 まず…

ミュリエル・スパーク : 双子

概要 一人称の語り手「私」が学生時代の友人ジェニーを訪ねる。ジェニーはサイモン・リーヴズと結婚し、二人の間には双子の子供マージーとジェフがいる。幸せを絵にかいたような、とでも表現したい理想的な夫婦と、黙っていられないほど愛くるしい女の子と男…

ミュリエル・スパーク : 警官なんか嫌い

概要 「警官嫌いを直すなら、警察に行くのがいちばんだよ」と叔母に言われた青年は、いやいやながら警察に行った。彼は警察が嫌いだった。ちょうど知り合いの女の子が「郵便局嫌い」だったのと同じように。 青年が警察署に行くと、番号で呼ばれ、手錠を掛け…